ピックリングという方法

ピックリングとは何か

金属製品を加工する際、熱処理などを施すことによって、金属の表面に酸化物の皮膜やサビが発生します。これらを取り除くために行われるのが酸処理です。ピックリングとは、酸処理の方法のうちの一つで、「酸洗い」とも呼ばれます。ピックリングは、比較的厚めの皮膜やサビを取り除く際に使われる方法で、主に0.3μm以上の皮膜やサビがある場合に用いられます。硫酸や塩酸、りん酸の溶液に、加工中の金属製品などを一定時間浸漬し、皮膜やサビを溶解することで除去していく方法です。

皮膜やサビを取り除かずそのまま放置してしまうと、メッキの密着作業や研磨作業がうまくいかず、その後の加工が出来なくなってしまいます。よって、ピックリングは金属製品加工に欠かせない重要な工程なのです。鉄鋼の場合には、「ショットブラスト」と呼ばれる方法で除去することもあります。ショットブラストとは、「ショット」と呼ばれる鋼製の小球や細かい砂などを金属の表面に吹きつけることで、表面の皮膜やサビを取り除く加工法です。0.3μmより薄い皮膜やサビを取り除く場合には、酸浸漬と呼ばれる方法が使われます。また、金属の表面が材質的に変化した場合は、エッチングと呼ばれる方法で取り除かれます。

ピックリングの具体的な方法

ピックリングで使用する酸洗液には、濃度を5~10%、温度を65~88℃にした硫酸溶液が使われます。浸漬時間は、皮膜の程度にもよりますが5~20分程度見ればよいでしょう。他にも、濃度を5~10%、温度を20~40℃にした塩酸溶液が使われることもあります。リン酸溶液を10~20%濃度にして使用するケースもありますが、一般的にリン酸溶液は高価なため、頻繁に使われることはありません。もっとも、金属の表面を改質するためにリン酸皮膜を形成する必要がある場合もあり、その際にリン酸溶液が使われることがあります。

さらに、インヒビターと呼ばれる物質も重要です。皮膜などが取り除かれた後の金属は、酸によって腐食されてしまいます。そうならないようにするために必要なのがインヒビターなのです。インヒビターは、金属が腐食により変質することを防ぐ効果を持つ物質の総称で、金属の表面に吸着することで作用します。インヒビターとして使われる物質にはビリジン、チオ尿素、キノリンなどがあり、そのほとんどが有機物です。インヒビターの中には、入れすぎると逆に金属の腐食を加速させてしまう場合があるため、必ず決められた量を守らなければなりません。また、ピックリングで使う液はどれも劇薬なので、作業者自身がケガしないよう細心の注意を払うことも大切です。