酸洗いに向かない表面仕上げ

金属なら何でも良いわけではない

酸洗いによって金属表面を美しく仕上げることができるのに加え、耐食性も向上させられることが知られています。ただ、どんな表面仕上げにも向いている方法というわけではなく、得手不得手があるので気をつけなければなりません。材質的にはステンレスに対して用いられるのが一般的で、硫酸や塩酸などの強酸に浸けておいても著しく腐食してしまわない金属に対してのみ用いることが可能です。腐食を受けてしまいやすい金属に対しても酸洗いをすることはできないわけではありませんが、酸の濃度調節や酸洗いをする時間の制御などが問題になる可能性があるため、ステンレスなどに対して用いるのが一般的になっているのが実態です。

金属表面にできているサビや酸化被膜などを取り除く程度の処理をした上で洗浄すると不純物がきれいになくなり、油分なども除去できるので金属としての均一性が確保されます。また、新たに均質な被膜が形成されるので微細な傷などで不均一になってしまっていた膜もきれいになり、腐食を受けにくい保護膜のある表面にすることが可能です。このような表面の状態ができあがることを念頭におくと、表面仕上げの向き不向きについても比較的容易に理解できるようになります。

表面仕上げの向き不向き

酸洗いによってできた表面は不純物などがなくて均質な状態になるのが特徴で、サビや傷、皮脂などの油分といった表面加工の際に邪魔になるものがほとんどなくなります。特に油脂がなくなることから塗装する場合の表面処理に向いているのが酸洗いです。酸洗いは金属表面を一部溶かしてしまう作用があることから完全に平らになるわけではなく、微視的に見るとザラザラした表面になります。その影響で塗料がきちんと表面につくようになるので塗装の仕上がりが良くなるのが一般的です。

ただ、酸洗いをすると梨地になってしまう影響で金属光沢が失われてしまいます。つや消しをした表面にしたいという場合にはそのまま使用することもできますが、美しい光沢がある仕上がりにしたいというときには向きません。ただ、この表面にメッキをして別の金属光沢を出す表面処理をすることは可能です。塗料を使用する場合と同様に、ざらついている表面にメッキがよく乗ることからメッキの下地を作る目的で酸洗いをするのは有効でしょう。もともとのステンレスなどの素材が持っている光沢を活用したいときには避ける必要がありますが、メッキでカバーできるのであれば酸洗いを適用して問題ないのです。